
姜尚中氏の著作。昨年の秋頃、読了。読み返しながらなので、レビューというより要約。
現代=ストレス社会の中で自分に自信を持てず、楽観的にもなれず、心理的に逃げることもできない状態にいる人たちへのアドバイス、といったスタンスで書かれている。
氏の体験を交えながら、漱石や社会学者であるマックス・ウェーバーの言葉に触れ、現代との共通点を探る。今を取り巻く問題をベースに、自我、孤独感、愛の変容といった内容を取り上げている。
何事にも正解を求めず、むしろ悩むことこそ本来の人間らしいという考え方は、幾度となく論ぜられている。なのに、現代を生きる我々はそれを素通りしている。悩んだ末の「突き抜け感」を誰も大事にしない。もっと多いに悩むべきで、悩んだ後は思い切り生きよう。そういう論旨。
氏の、在日という生い立ち+政治学者としての視点も、読んでいて面白い。共感できる悩みも多いが、「そこ悩むんかい」といったフックもある。
決して悩みの晴れる本ではないが、悩むことを肯定してくれる本。
もちろん、悩むのとウジウジするのとは違うが。
No comments:
Post a Comment