Jun 26, 2008

トコトンやさしい 機械の本 朝比奈奎一 三田純義


この本は、産業機械の展示会にある、日刊工業新聞社のブースで出会った。私はメーカー勤務で、現在は産業用ロボットを取り扱っているが、何を隠そう私は文系出身である。なので、会社に入ってまず、プログラムやメカの基本を学習するところから始まった。そうしないと、周囲の会話が全て暗号のように聞こえるからである笑。そのような中、この本に出会ったのだ。
                                      
私はこの本に出会ったとき、まさに「救われた」思いがした。なぜなら、この本には現場で使われる用語や機構の仕組みが非常にわかりやすく書いてあるからである。まず最初に目からうろこが落ちたフレームワークがある。要は、機械は何によってできているの?という問いの答えである。
  
1.動力源(モータなどで動かす)
2.伝達する要素(ギアなどで力を伝える)
3.制御する要素(ブレーキなどで動きをコントロールする)
4.変換する要素(カムなどで力の方向を変える)
5.締結する要素(ネジなどでパーツを固定する)
6.支える要素(フレームで機械を支える)
7.電気の要素(センサやコンピュータなどでコントロールする)

フレームワークとしてはギリギリ合格点であろう、7個の要素が挙げられている。これでも難しいよ、という声もあるかもしれないが、この7個で機械の全体像が説明できるのは私にとって非常にありがたかった。また、それぞれの要素も細かく解説されており、普段は目にしないであろうベアリング、ギア、モータ、クラッチなどの構造に詳しくなることができた。これは私にとって重要なことである。なぜなら、産業用ロボットをお客様に勧めるためには、お客様の使っている生産装置(現場)を知ることが大事だからだ。ひとつの語学を学ぶがごとく機械に関する言葉を学ぶことは、メーカーに勤める者にとってかなり役立つことだと感じた。  
  
また、この本には、身近な機械の中身も解説されている。ハードディスク、マシニングセンタなどの普段中身を見れないものから、事務コピー機や洗濯機などの生活に近い機械まで幅広く網羅していて面白い。さらに、噛み砕いたレベルの数学、物理でも解説が加えられていて、これら学問にも興味、関心を持つこともできた。「こうやって勉強が役に立つのか!」と知ってさえいれば、高校時代の自分ももう少し勉強したかもしれない笑。


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