Jul 13, 2008

私塾のすすめ 齋藤孝/梅田望夫


私がよく読む、梅田氏の新刊。『ウェブ時代をゆく』など以前の著作と最近の超長エントリをあわせて、今の私にとって最もホットな人である。その彼が、これまた超真剣に教育のことを考えている齋藤孝氏と対談したものを収録したのが、これだ。

なぜホットなのか。それは、旧来の学習や組織のあり方を大いに変える可能性について語られているからである。しかも2人とも、ウェブという思考ブースターによってエンパワーされた時代の追い風を体いっぱいに受ける方法について、人生をかけて挑んでいる。

本の題名にもある「私塾」という言葉は、内容を表すのに非常に適切である。中身を読んでいただければわかると思うが、これからの時代は「好きなことでなければ勝てない」時代で、好きなことをシビアに、とことん学ぶには「私塾」という組織が一番マッチしているという2人の会話が、この題名の由来だからである。しかも、ウェブは私塾での学習や活躍を志す者にとって非常に有効なツールである。

「好きなことでなければ勝てない」というのは、実は非常に厳しいことだなと、読みながら思った。高度経済成長期のように、好きなことでなくても根性で乗り切れば人生が保証された時代もあったし、そのゆり戻しで「好きなことやれれば、他のことは求めない」という風潮もあった。しかしこれからは、「その仕事とかやり遂げたいことはすごく好きで、いくらでも頑張れる、そして実際に頑張る」ようでなければ、社会から干される可能性があるということを指している。今、新入社員として会社で働く自分自身に「その仕事、好きでやってんのか?大組織で学べるだけ学ぼうという気持ちで毎日過ごしてんのか?」と問いかけてみたりもした。(少なくとも、これを書いている今現在は、自分の仕事に興味、好奇心、漠然としてはいるが使命を感じている。)

上に書いたことは、この本の一部である。他に教育についてや、ロールモデルの持ち方についても活発に議論している。そして最後に感じたのは、2人とも非常にエネルギッシュであるということ。2人には申し訳ないが、こんな「おっさん」に負けている場合じゃない!という気分になった。

特に、これからの仕事観やウェブとの付き合い方を再考し練り直すには良い本である。ぜひ。

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