Dec 25, 2008

Dec 18, 2008

「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55 古市幸雄


会社に入り、割とすぐに読んだ本。なので買ってからかなり間があるが、今でもパラパラと読み返す。

アマゾンやミクシィにレビューの多い本であり、評価は人によってかなりばらつきがある。1〜5星まで広く分布している。文中のどの部分に食いつくか人によって違うということと、その人が勉強や読書にどれほど免疫を持つかによって、本の内容を重く受け止めたり薄く感じたりするためと思われる。

自分がこの本に感じたのは、「卑近」な本だなぁという一言である。この本を読んだからといって、何か専門的な知識やビジネスの新常識が得られるわけではない。しかし、何かと面倒くさがり、時間管理などにおいて生活が崩れそうになった時、この本に書いてある「卑近」なテクニックが効く。だから、自分はこの本を「パラパラと」「何度も」読み返す。

役に立つ本であることは間違いない。
日々の生活で、自分のケツを叩いてくれる。
しかしこの本の内容そのものは、非常に薄い。
なので、「卑近」な本として紹介させていただく。

Dec 17, 2008

『ガラパゴス化する日本の製造業』 宮崎智彦

アマゾンでおすすめ表示され、存在を知った本。

製造業を取り巻く環境が大きく変わっていることを証明し、(特に日本人に対し)現実を突きつけるために書かれたような本。野村証券で電電系企業分析・戦略分析を生業にする著者が書いている。

結論から言えば、「このままでは日本の総合電機は危ないよ、世界は大きく変わっているよ」ということである。根拠としては、中国、台湾、韓国がそれぞれの手法で日本の製造業にキャッチアップし、むしろ一部においては既に追い抜いていることを挙げている。

まず取り上げられているのは、「日本の市場は特殊なハイエンド市場であることを認識せよ」である。携帯電話やその他家電を始め、日本市場向けのものは機能的に高付加価値過ぎて他の国では価格的に敬遠されている現状を示している。この流れが続く中で、筆者は「日本はすでにガラパゴス諸島(のような特殊かつ限定的な生態系)になっている」と主張している。つまり、世界を相手に戦うパワー、免疫を失いつつあるということである。

主張されていることはまさにおっしゃる通りで、自分も家電を売る身として同じことを考える。「この機能はいったい誰が使うのか??」という疑問を自社製品に投げかけることは多いし、実際に自分が購入したもの(特に携帯電話)にも同じことを思う。

個人的には、日本人の「職人気質」が余分な形で発露した結果だと考えている。製品そのものの「高み」を目指すことに固執し、それを買う人間、使う人間を二の次にしてしまう。このような製品ばかり作る企業を、日本人よりも現実的で、したたかで、世界のマス市場を見据えている人々が支持するはずはない。この本を読むことでその考えを確かなものにした。

また、ビジネスの仕組みについても言及。日本の電機メーカーにありがちな、すべての工程を自社もしくは自社子会社で行う「垂直統合モデル」が限界に近づき、台湾企業とその顧客であるアメリカ系ファブレス企業を中心とした「水平分業型」モデルが猛威を振るっているとしている。

特にこの流れはモジュール型の製品(擦り合わせを必要とせず、パーツの組み合わせで機能する製品、パソコンなど)で大きな成果を上げているようである。また「後だしジャンケン」でコスト的アドバンテージを得やすい半導体や液晶パネルに関しても、日本企業の劣勢ぶりが浮き彫りになっている。

今までの収益モデルに依存していては、日本の総合電機メーカーに明日はない。世界を相手に戦わないとただ弱体化するのみ。それでもなお、日本市場を大事にし過ぎ、横との比較ばかりの日本企業(弊社も含め)が虚しい。

shimokita street

lumi lumi flower

autumn leaves

hokkaido tree

orange flower sapporo

Dec 10, 2008

「マネジメント エッセンシャル版 基本と原則」P.F.ドラッカー


紹介するまでもない、「賢人」ドラッカーの著作を諸所抜粋したもの。長い時間をかけて、少しずつ読んできた。非常に密度の濃い内容・文体であるため、そこら辺のビジネス実用書のようなザックリした読み方ができない。

仕事、組織、マネジメント等様々な点について言及しているが、読んでいて個人的に著者の「気」を感じた部分を少し。

1 マネジメントは常に、現在と未来、短期と長期を見ていなければならない。

2 組織の目的は、凡人をして非凡なことを行わせることにある。
天才をあてにするな。

3 何が正しいかだけを考え、
誰が正しいかを考えない。

4 学ぶことのできない、
後天的に獲得することのできない、
始めから持っていなければならない資質がある。
才能ではない、真摯さである。



仕事のみでなく、「人生」に対する心構えが得られる。

Dec 1, 2008

『アイデアのつくり方』



『ザ・プロフィット』の中で紹介されていた、アイデアの醸成に関する本。ちょい大き目の手帳サイズで、本としては非常に小さく、薄い。でも中身は濃い。

アイデアという名の「世の中を変える、新しい組み合わせ」を生み出すのに法則やコツはあるのかな??という問いかけに、広告に携わってきた著者が答えていく内容。

まとめてしまうと、
1 豊富かつ正確な資料集め
2 ひとつひとつを調べる、理解する、加工する
3 意識的・無意識的問わず、いろいろ組み合わせる
4 完成したら、それを実行する、試してみる
である。

このように抜書きすると身も蓋もないが、実際はより含蓄に富んだ文章で書かれているので、読んでいるだけで「世の中は実はシンプルかも」と感じられる。

シンプルに考えるのは、アイデアを生み実行するための、最高の土台。(←これは自分の意見)


・・・でも、これと同じようなこと説いている本に自分は出会ったことが・・・外山滋比古『思考の整理学』の内容と、デジャヴしました。あくまでも自分の感想ですが。皆さんもぜひ。

Nov 28, 2008

「ブルー・オーシャン戦略」



久々の更新です(汗
TOEICの勉強やら引越しやらで・・・(言い訳!!

さて今回は、新しい戦略の切り口であるこの本。
まずいままでの20世紀的競争、戦略を「レッド・オーシャン」と位置づけている。この位置づけに自分の会社での戦略を思い出し、ギクリとする。そのような、どんぐりの背比べ的な世界から、広くて敵のいない世界へ漕ぎ出そうというのが、本書での提案。


まず挙げられているのが「アクション・マトリクス」、「戦略キャンバス」である。増やす-減らすの項目と付け加える-取り除くの項目で、製品・商品のメリハリをつけて、他の競争相手とは違う戦略キャンバスを描いていこうという考えである。完璧なレーダーチャート(大きな○)を目指すのではなく、尖ったチャートを目指す。さらにいえば、競争のカテゴリーを超えたところで展開する。

また本書の特徴的なところは、そのブルーオーシャン戦略を実行する上での障壁とその対策にも言及しているところである。要は、影響力のあるところから攻めましょう、味方にしましょうということである。QCのパレート図における優先項目から片付けましょうという感じに似ている。

最近レビューから離れていたので全くうまく書評が書けないが、トラディショナルはものとは切り口が違うのが読んですぐに分かった。21世紀、さまざまな企業が健全に生き残るのに必要な考え方「他人と違うことで、なおかつ消費者が喜ぶことをやろう」ということが書かれた本。

Aug 18, 2008

perfume comication

ウェブ時代 5つの定理 梅田望夫




旬とも言える、梅田氏のソフトカバーである。私は梅田氏の著作がお気に入りで、いつも元気をもらい、様々なことに気づき、生活に取り入れている。なぜ気に入るかというと、おそらくシリコンバレーを中心とした、日本人にとって「異国」である存在を、身近に、かつ刺激的に書いているからである。普段のビジネス書や、単なる小説とも違う。言うなれば、冒険ノンフィクションのような、リアルなわくわく感だろうか。

本著にはシリコンバレーならではの、起業・技術・経営に関するマインドセットが見て取れる。日本にはない仕事観である。このようなマインドで仕事をしている人々を相手に、グローバル市場でどう戦うのか、自分はこの先どの立場で仕事したいのか、色々考えさせられる。

本著には、様々な参考文献や、講演の語録、そのURLなどがちりばめられている。それらも大いに参考になる。ぜひ。

たこ焼きロボット(安川電機 Youtube)

安川電機のロボット、MOTOMAN HPを紹介します。
厳密なロボット紹介の動画ではありませんが、安川の小型6軸ロボットを用いた自動たこ焼きアプリケーションです。こんなに器用に動かせるのは、セットアッパーであるSIの力量も凄いのですが、何よりロボットの精度に目を見張るものがあります。
ちなみにこのロボットは、セイコーエプソンのProsixとしてもOEM供給されています。さすがロボットの雄、安川ですね。

Jul 28, 2008

EPSON エプソンスカラロボット Youtube

エプソンのスカラロボットGシリーズを紹介いたします。
6軸ではまだ実現できないであろう、高速・高精度な動きです。
動画は、板の穴に針を刺すデモのようです。

Jul 26, 2008

ABB Youtube

ドイツの老舗、ABBのロボットを紹介いたします。



ABBのYoutube公式サイト http://jp.youtube.com/user/ABBRobotics

Jul 24, 2008

KUKA youtube

ダイナミックな、KUKAのロボットを紹介します。
粛々と動くオレンジが、まさに重工業って感じです。

Jul 23, 2008

The SUN

green point point

pink and bee

eeePC I Got It!

My Car VW

あなたもいままでの10倍速く本が読める


ポール・R・リーシィ著

あまりにも題名がストレートすぎて、なんだか怪しい本なのでは??と思ったのは、あなただけではない。私もだ。なのになぜこれを手に取り、レビューする気になったかというと、勝間和代氏の著作の中に紹介されていたからである。氏の後ろ盾によって、私はこの本を読んだということである。

また、この本の翻訳はビジネス書や自己啓発の本で有名な神田昌典氏である。自分自身、最近はこの手の本ばかり読んでいてなんだかなぁ・・・と感じてもいるが、ひとつの事柄に対して沢山の本を読むのは非常に効率よく、深く勉強できるという実感がある。なので、今はそういう時期なのだということで、お許し願いたい。


この本には、「フォトリーディング」という本の読み方が紹介されており、それがメインのコンテンツである。これまでの速読術とは一線を画すというのが、売りのようである。ざっくりと内容の説明をすると、

1目的を明確にし、集中する
2目次、表紙、裏表紙などをプレビュー(調査)する
3一字一字を追うのではなく、「ページ」全体を眺め、脳に写し取る
4ざっと読み進めつつ、自問自答する その答えになりそうなところは、じっくり読む
5読み終えた後に、熟成期間を設ける その後、アウトプットする

という箇条書きになる。今、自分で書いていても、なんだか怪しい気がしてきてしまった。その原因は、この本の書き味が怪しいことに端を発する。そこで、同じ意味の箇条書きを書いて、補足したいと思う。

1「この本から、自分は何を読み取るのか」を念頭に置く
2本文を読む前に、事前の情報収集をする 本文が読みやすくなる
3クルマを運転しているときのように、ピントを絞らずに全体を見つつ集中力を保つ
4読みながら、「なぜ?」を感じる その答えを探し、そこはじっくり読む
5一度、本から離れる 脳の情報整理をする時間を設けるため

少しは、改善しただろうか?私の語彙では、これが限界である。少なくとも、本を本気で読みたい、読書スピードを改善したいと考えている方にとってはそのままオススメできる本である。書いてあることは全うな事柄がほとんどである。ただし、興味本位で読もうとか、そもそも読書にあまりコンプレックスがないという人には、あまりオススメしない。興味本位で読むには文体や言葉遣いが怪しいし、本が読める人はおそらく無意識のうちに実践している内容が多いと思われるからである。

最後に、私の印象に残った言葉をひとつ。「味見のための本がある。丸呑みするための本もある。そして、ごく少数の本だけが、かみしめ、消化するためにある。つまり、たいていの本は、部分的に読めば事足りるか、全部読めたとしても特に面白くはない。本のわずかな本だけが、真剣に熟読するに値するということである。」

要らない本に長い時間を費やしたくないのなら、フォトリーディングを学びましょう、ということのようである。

産業用ロボットについて

こんにちは。まずは、産業用ロボットのリンクを充実させたいと思います。

現在主流なのは、人間の腕に近い動きをする6軸ロボットと、限定的ではあるものの高速・高精度で動く4軸(スカラ)ロボットがあります。ほとんどのメーカーが、日本のメーカーです。

これらの主な用途は、自動車・自動車関連部品の組み立てや溶接、電子機器の組み立て、部品の搬送、整列などでしょうか。ロボットというものは、プログラムさえ組めばどのようにでも動きますので、特に決められた用途は無いのですが、現状では上記のような用途がほとんどだといえるでしょう。メーカーでは、これまであまり進出していなかった分野、例えば食品、医薬品などでの活躍を考えているようです。

下に、代表的なメーカーを挙げます。今後も、ウェブを巡回しながら追加していく予定です。


産業用ロボット(完成品)

ABB
ファナック 
川崎重工
安川電機
不二越
ダイヘン
KUKA
STAUBLI
ADEPT
三菱電機
デンソーウェーブ
セイコーエプソン
ヤマハ
アイエイアイ(IAI)

Jul 13, 2008

私塾のすすめ 齋藤孝/梅田望夫


私がよく読む、梅田氏の新刊。『ウェブ時代をゆく』など以前の著作と最近の超長エントリをあわせて、今の私にとって最もホットな人である。その彼が、これまた超真剣に教育のことを考えている齋藤孝氏と対談したものを収録したのが、これだ。

なぜホットなのか。それは、旧来の学習や組織のあり方を大いに変える可能性について語られているからである。しかも2人とも、ウェブという思考ブースターによってエンパワーされた時代の追い風を体いっぱいに受ける方法について、人生をかけて挑んでいる。

本の題名にもある「私塾」という言葉は、内容を表すのに非常に適切である。中身を読んでいただければわかると思うが、これからの時代は「好きなことでなければ勝てない」時代で、好きなことをシビアに、とことん学ぶには「私塾」という組織が一番マッチしているという2人の会話が、この題名の由来だからである。しかも、ウェブは私塾での学習や活躍を志す者にとって非常に有効なツールである。

「好きなことでなければ勝てない」というのは、実は非常に厳しいことだなと、読みながら思った。高度経済成長期のように、好きなことでなくても根性で乗り切れば人生が保証された時代もあったし、そのゆり戻しで「好きなことやれれば、他のことは求めない」という風潮もあった。しかしこれからは、「その仕事とかやり遂げたいことはすごく好きで、いくらでも頑張れる、そして実際に頑張る」ようでなければ、社会から干される可能性があるということを指している。今、新入社員として会社で働く自分自身に「その仕事、好きでやってんのか?大組織で学べるだけ学ぼうという気持ちで毎日過ごしてんのか?」と問いかけてみたりもした。(少なくとも、これを書いている今現在は、自分の仕事に興味、好奇心、漠然としてはいるが使命を感じている。)

上に書いたことは、この本の一部である。他に教育についてや、ロールモデルの持ち方についても活発に議論している。そして最後に感じたのは、2人とも非常にエネルギッシュであるということ。2人には申し訳ないが、こんな「おっさん」に負けている場合じゃない!という気分になった。

特に、これからの仕事観やウェブとの付き合い方を再考し練り直すには良い本である。ぜひ。

流れる星は生きている 藤原てい


ひょんなきっかけで、おそらく誰かのブログか雑誌で知った本。新田次郎の妻である著者の、満州引き揚げについて書かれたノンフィクションである。

日曜の朝、午前中で読みきってしまった。内容が薄く、さらさらと読めたわけではない。完全に引き込まれた。物語の最初は、戦局的に引き揚げの可能性が生まれ、夫が召集されるところから始まる。いきなりである。その後、言語に絶する「旅」すなわち強行軍が始まる。

ふだん私がレビューを書くビジネス書や何かの解説本なら内容も詳しく書くが、これはドラマである。従って、内容にはあまり触れないでおく。生きる執念、絶望、疑心暗鬼、心正しい者をも蝕む極限状態、それでも子供や夫を想う心の芯。これらは月並みな言葉ではあるが、現代を生きる自分には縁遠いものであり、非常に強い衝撃をもらった。

最近、本を多く読んでいる(少なくとも自分としては)が、この本によって読書の醍醐味を思い出すことができた。つまり、他人の人生や経験を追体験することである。特に今回は、ほぼ味わうことはないであろう(ある意味、味わってはいけない)経験を追うことができたと思っている。司馬とも違う、リアルな息遣いやうめき、または希望を感じた。人として、この本は読んでよかった。

ひとまとまりの紙と文字に、渾身の力を込めて生きた人間の思いが詰まっている。読まない理由はない。

Jul 1, 2008

いちばんやさしいファイナンスの本 保田隆明





この本は、新宿の紀伊国屋で見つけた。メーカー勤務だからといって、この先ファイナンスのことを知らぬまま社会人生活を送るのは不安だと思っていたところに、この本に出会った。本を手に取ってからわかったのだが、この筆者のブログを私は普段からよく読んでいる。
http://wkwk.tv/chou/ 
元来専門的でなかなか一般庶民にわかりにくかった金融の世界を、この筆者は極めてわかりやすく書くなぁと常日頃から感じており、私はこの本にも「わかりやすさ」を期待した。そして期待通りだった。
 
この本には、決算書の読み方から、果てはM&Aに関することまで幅広く網羅してある。まず印象的だった言葉は、「決算書は写真であり、コーポレートファイナンスは動画である」というフレーズだった。この2つを混同して考えるからファイナンスという概念を難しく感じるのであり、さらにはどこを勉強してよいかわからなくなってしまい理解不能、という悪循環に陥るということに気づかされた。このように身近な例に例えて概念を説明してくれるので、初心者の私でもファイナンスの世界をスムーズに理解できた。また、初心者の覚えるべき点、専門的で覚えなくてもよい点を明確にしてくれるので、読んでいて消費エネルギーが少ないのには助けられた。



また、もうひとつ納得した説明として、「業界や各企業によって儲け方や費用の使い方が違うため、統一した書式としての”決算書”が必要なのである」というものがあった。これは多くの皆さんが一度は考えたことのある、「何で給料のいい業界と、そうでない業界があるの??」という疑問の答えになるだろう。世の中には、大規模な設備投資や広告媒体を必要とする製造業もあれば、極端な話ではあるが人のアタマとパソコンのみでビジネスが成り立つコンサルティング業や金融業もある。もちろん、後者のほうが高給なのは自明の理である(もちろん例外はあるが)。この答えを証明するものとして、決算書という、どの企業でも共通の診断書が存在するということである。


さらには、例えばホテル業界における超高級ホテルとビジネスホテルの違いのように、同じ業種のなかでも様々なスタイルが生まれている。これら同業の中での「儲け方」の違いにも触れられていて、「世の中にはいろんな儲け方があるのだな」とつくづく思った。


また金融のスペシャリストである筆者らしく、後半にはM&Aについてくわしい。企業という形の無いものに値段を付けて売買するという概念そのものがわかりにくいが、要はその事業の持つ様々な資産(ブランドといった、無形資産も含める)と、今後その事業が稼ぎ出す”であろう”額の合計が、事業の買収額になるのだという大まかなことが理解できた。そして多くの場合、その額は「時価総額」という名前で市場に知られているということもわかった。過去にホリエモンが執拗にこだわった、あの時価総額である。


このように、この本には今現在必要とされるファイナンスの知識が一通り網羅されている。しかし、この本では物足りないという方もいるであろう。また、文章や表現に重みや含蓄を感じられないという方も多いであろう。この本は、それらを省く形で「わかりやすさ」を最大限重視したということは、理解しておく必要がある。だれも、家電の取扱説明書に、感動や含蓄を求めたりはしない。そういうことである。

washedshoes

GINZAstreet



Jun 26, 2008

トコトンやさしい 機械の本 朝比奈奎一 三田純義


この本は、産業機械の展示会にある、日刊工業新聞社のブースで出会った。私はメーカー勤務で、現在は産業用ロボットを取り扱っているが、何を隠そう私は文系出身である。なので、会社に入ってまず、プログラムやメカの基本を学習するところから始まった。そうしないと、周囲の会話が全て暗号のように聞こえるからである笑。そのような中、この本に出会ったのだ。
                                      
私はこの本に出会ったとき、まさに「救われた」思いがした。なぜなら、この本には現場で使われる用語や機構の仕組みが非常にわかりやすく書いてあるからである。まず最初に目からうろこが落ちたフレームワークがある。要は、機械は何によってできているの?という問いの答えである。
  
1.動力源(モータなどで動かす)
2.伝達する要素(ギアなどで力を伝える)
3.制御する要素(ブレーキなどで動きをコントロールする)
4.変換する要素(カムなどで力の方向を変える)
5.締結する要素(ネジなどでパーツを固定する)
6.支える要素(フレームで機械を支える)
7.電気の要素(センサやコンピュータなどでコントロールする)

フレームワークとしてはギリギリ合格点であろう、7個の要素が挙げられている。これでも難しいよ、という声もあるかもしれないが、この7個で機械の全体像が説明できるのは私にとって非常にありがたかった。また、それぞれの要素も細かく解説されており、普段は目にしないであろうベアリング、ギア、モータ、クラッチなどの構造に詳しくなることができた。これは私にとって重要なことである。なぜなら、産業用ロボットをお客様に勧めるためには、お客様の使っている生産装置(現場)を知ることが大事だからだ。ひとつの語学を学ぶがごとく機械に関する言葉を学ぶことは、メーカーに勤める者にとってかなり役立つことだと感じた。  
  
また、この本には、身近な機械の中身も解説されている。ハードディスク、マシニングセンタなどの普段中身を見れないものから、事務コピー機や洗濯機などの生活に近い機械まで幅広く網羅していて面白い。さらに、噛み砕いたレベルの数学、物理でも解説が加えられていて、これら学問にも興味、関心を持つこともできた。「こうやって勉強が役に立つのか!」と知ってさえいれば、高校時代の自分ももう少し勉強したかもしれない笑。


Jun 23, 2008

地頭力を鍛える~問題解決に活かす「フェルミ推定」~ 細谷 功



この本は、コンビニで読んだビジネス向けムックに紹介されていて興味を持ったので読んでみた、というものである。この本の冒頭では、脳のタイプを大きく3つに分けている。1知識・記憶型、2対人感性型、3思考型、である。例えるなら、1はクイズ王、2はコメディアンや司会者、3は将棋やパズルの名人だ。

そして、これらの中で最も価値があり重要とされるのが、3の「考える力」である。なぜなら考える力をもつ人物はどのような分野の仕事に取り組んでも習得が早く、高いパフォーマンスが期待できるからである、と筆者は説いている。さらにこの力は単なる情報などと違い、陳腐化しない。筆者はこの能力を「地頭力」と定義し、これは訓練によって鍛えることが可能であるとしている。その「地頭力」を鍛えるためのツールが、「フェルミ推定」なのだ。

おおまかに言えばフェルミ推定とは、いかに少ない情報で結論(と思われるもの)を導きだすかというものである。文中では、「日本中に電柱は何本あるか」という例題をもとに、その思考方法を紹介している。これを紙と鉛筆のみで考え、仮説を構築するというものである。

推定そのものは大まかに(1桁誤差くらいに)合っていさえすればよく、大事なのは、この仮説をベースに筋道を立てて、「先に進むための前提条件を生み出す」ことである。フェルミ推定を紹介したところで、さらに筆者は「全体から考える」フレームワーク思考力と、「単純に考える」抽象化思考力を提示している。これらは他の、問題解決やビジネススキルアップの本にも詳しいだろう。

以上、長々と内容の要約を書いたが、自分としては「フェルミ推定」はいろんな場面で役に立つと思われる。例えば、上司からの質問にすばやく回答する、会議で会話が行き詰ったときの打開策に使う、などである。データを完全に収集している間に、世の中の情勢は大きく変わってしまっている。データで確度を上げることも重要だが、そのためにはデータをはめ込むための仮説(計算式)が必要になるということである。

真の思考力を鍛えて、仕事のスピードを上げたい方には、オススメの本である。

Jun 22, 2008

「超」勉強法 野口悠紀雄


13年前に刊行された本だが全く色あせないでいる。筆者は、能力の差は勉強で克服可能で、むしろ人生を決めるのは能力そのものよりも、どれだけ勉強したかであると説いている。その考えに基づき、独自の勉強方法、記憶方法をまんべんなく網羅してある。

そしてこの本の要点は、以下の3つである。

1面白い(と思う)ことを勉強する
2全体から理解する
3八割を理解したら、先へ進む

である。
1は、勉強には興味や好奇心が不可欠であることを示している。
2では、俯瞰的な視点を持ち学習要素の「目次」をアタマに入れてから勉強することで、その勉強の重要な点をより早く正確に得られるということを示している。
3の真意は、勉強したことはとにかく使ってみることが大事であり、一歩一歩前へ進むスタイルは時間と手間がかかりすぎるということである。基礎に拘泥するより、八割を理解してそれを使うことでおのずと残りの二割も見えてくるというわけである。

自分にとっては、3つの要点は部分的に理解していたものの、これらを徹底的に活用したことはなく、もっと早くこの方法に出会っていれば良かった、という思いが強い。

また、「個性は学習の上にしか成り立たない」という考えは、ゆとり教育や、現在の個性偏重志向にも警鐘を鳴らす内容であるだろう。

勉強や、記憶に関するコラム(脱線話)も充実しているので、読み物としても適している。

はじめに

はじめまして、広大と申します。

このブログは、自分にとってのブックレビューといった感じでしょうか。また、他の人にも読んでいただくことで、自分にとって役に立った本やその他コンテンツを広めていけたらなと考えています。

これまでにもミクシィでの日記や、写真のみのブログは経験してますが、全くの他人を意識しながら一まとまりの文章を書くのは初めてといってよいでしょう。

なにはともあれ、自分にもみなさまにもプラスになるようなブログにしようと思います。

baseball

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